ダイヤモンド・オンラインに「資産配分に外国債券は?」と題する山崎元氏の記事が掲載された。
本ブログを前から読んでいる人にはおなじみのテーマだが、「個人投資家は外国債券をポートフォリオに入れるべきか」という論点だ。山崎元氏の主張は以下の通り:
- 複数の先進国の国債で構成された債券指数で見ても、外国債券のリスクは、10%くらいある(為替ヘッジなしの場合)。
- これに対して、期待リターンは円債と外債でどちらが大きいともいえないから(名目利率に差異があっても理論上は為替レートで調整されるので)、円債並みと考えるのが妥当。現在であれば1%程度の、同じ期待リターンで計算せざるをえない。
- 外国債券と国内株式との相関関係も、外国株式との相関関係もプラスの関係なので、最適配分に加わる効果も下がる。
- 国内債券・外国債券を1%あるいは2%として過去10年程度のデータから最適資産配分を計算してみたが、外国債券は最適ポートフォリオに加わらなかった。
個人投資家が外国債券に投資すべきでない主な理由として、これまで山崎氏は手数料の高さを理由にしてきた。確かに、外国債券に投資するインデックスファンドやETFなど「手軽な商品」で、株式と比較して手数料が妥当なものはまだ出ていないので、山崎氏の主張も一理あると思っていた。
しかし、上記のように外国債券の期待リターン設定が妥当ではないという話に持って行ってしまうと、そもそも資産額のサイズの話は関係なく「機関投資家であっても外国債券に投資するのは適切ではない」という結論になってしまう。個人投資家はダメで、資産額の大きい機関投資家なら良い、という話にはならない。山崎氏は本当にそう考えているのだろうか?
おそらく外国債券の期待リターンの設定が高すぎるのではなく、国内債券の期待リターンを下げざる得ない状況が続いているのが実情ではなかろうか。超低金利の中で理論上「異常な」状態が長く続き過ぎてしまったため、現代ポートフォリオ理論では考慮しきれない状況に陥っているのではないかと思う。
いずれにせよ、円の超低金利状態が永遠に持続するとは考えにくく、国内債券・外国債券の期待リターンを収斂させる考えは正しいと思うが。
- 2010.11.30 Tuesday
- カテゴリ:預金・債券投資
- comments(2)
国家公務員共済組合連合会のポートフォリオを見ると、
外国債券が 0% なっているので、
「機関投資家であっても外国債券に投資するのは適切ではない」
と考えている可能性があると思います。
http://www.kkr.or.jp/shikin/report220308-data.pdf
http://www.kkr.or.jp/shikin/list_committee.pdf
http://www.kkr.or.jp/shikin/report220308.pdf