ゼロクーポン債投資による節税法〜2016年(平成28年)から利用不可



債券には大きく分けて、毎年一定の利子が支払われる利付債と、償還時に100%となるようにして、あらかじめ割引の価格で発行される割引債(ゼロクーポン債)がある。
外国籍の利付債は、利払い日に支払われるクーポンに対して20%の源泉分離課税され、償還時や途中売却した場合は非課税となる。

一方外国籍のゼロクーポン債は、償還時の売却益に対して雑所得(所得給与所得と退職所得の合計が2000万円以下の人はで20万円まで以下の雑所得の場合は控除される確定申告が不要になる)がかかる。途中売却の場合は、譲渡所得になる。これは、50万円まで控除され、5年以上の長期で保有した場合は、50万円以上の部分の半額が総合課税の対象になる(国税庁:ゼロクーポン債と税金及び譲渡所得の計算のしかた)。この付け焼刃的な債券投資に対する課税をうまく利用して、税金を払うことなく投資することが可能になる。

毎年、ゼロクーポン債の売却益が50万円以内に収まるように、中途売却を行っていくのだ。例えば以下のような三つのゼロクーポン債があったとする。

  • 2020年に償還する(100になる)米ドル建ゼロクーポン債Aが、現在60で売られている。
  • 2021年に償還するユーロ建てゼロクーポン債Bが70で売られている。
  • 2022年に償還する豪ドル建ゼロクーポン債Cが40で売られている。

このとき、以下の式で、それぞれの債券にだいたいいくら投資すればよいかわかる。

投資額=控除上限額÷(償還価格÷現在価格−1)

わかりやすいように、上記数字の単位を万円とすると、1のときは50÷(100÷60−1)で約75。2の場合は約117、3の場合は約33だ。それぞれ為替の計算をすれば、それぞれの債券に投資すべき価格が導き出せる。ちなみに外国債券を保有する場合は外国証券口座維持管理料が年間3000円程度発生する。また商品の種類が豊富な証券会社を選んだほうが良い。

ただし、注意しなければならないのは、償還直前に利子率が低下し、債券価格が100以上になることもあるからだ。その場合は控除上限価格を50ではなく、46か47程度で計算すれば、償還日前に100以上になってもある程度カバーできる。そしてこれらの債券を1年にひとつづつ途中売却すれば、税金を納めることなく、投資することができる。また、同じ年度内に、他に譲渡所得がある場合も注意する必要がある。

ただし、このような税制のゆがみは、あくまで現在の話であり、今後変わる可能性もあるので注意が必要だ。なお債券の税制については、「資産運用のカラクリ投資と税金篇」に詳しい。

2013/12/28追記:ゼロクーポン債に関する税制は2016年に改正され、上記の節税策は使用できなくなります。詳しくは2016年から投資税制一本化〜外貨MMFやゼロクーポン債の節税策を封鎖を参照。

関連記事:
・外債インデックスファンド・ボンドセレクトトラスト・ゼロクーポン債の比較

コメント
こんにちは、トラックバックありがとうございました。

とても緻密に考えておられるご様子、尊敬します。

ところで、ゼロクーポン債の途中売却は、譲渡所得なので、5年以内で売っても、短期譲渡所得となり、50万円の非課税枠が使えると思っていたんですが違ったでしょうか・・。

5年以上たってから売ると、50万円の非課税枠があり、さらに2分の1された金額が課税対象になるので、5年以上で売るのが有利になるのだと思いまた〜。

野村證券も、外債多いんですね。私も覗いてみなくっちゃ。

情報提供ありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。


  • ebara
  • 2005/10/21 8:44 AM
ebaraさん。ご指摘ありがとうございます。長期と短期の点その通りですね。さっそく修正しました。今後ともよろしくお願いします。
  • 管理者
  • 2005/10/21 9:02 AM
トラックバックありがとうございます。へっぽこ投研にゃかむらです。

言われてみれば確かに債券の税制の隙を突くことは可能ですね。考えたこともありませんでした。

私としては、税制は変わることも考えられますし、これから、団塊の世代の退職に伴って、外債投資も増えてくると思いますので、税務署は黙っていないのではと考えてます。

いやですね税務署 (笑)
 ゼロクーポン債は、5年以上たってから途中売却で売ると、50万円の非課税枠があり、さらに2分の1された金額が譲渡所得となり、総合課税で申告すると理解しているのですが
 子供名義の口座でゼロクーポン債を購入し5年以上経過後、途中売却を行えば、途中売却益が126万まで非課税と考えるのですが、この考え方は正しいでしょうか?

考え方として
(126万−50万)/2=38万
となり 

子供の扶養控除の基準が年間の合計所得金額が38万円以下となっていますので、売却益が非課税となり子供の確定申告は不要?と考えています。(但し、子供がバイト等の副収入が無い事が条件です)

これが可能なら、学資保険の代わりとして教育資金の運用が出来るのではないかと現在思案中です。
(しかも子供に生前贈与を行うので非課税枠の資産運用が拡大します)
  • SLT
  • 2006/08/08 1:05 PM
SLTさん

私は税制の専門家ではないので、確実なことは言えないのですが、私もその認識で問題ないと思います。

ただゼロクーポン債を購入する時点で、こどもに年間110万以上贈与した場合には課税されますのでご注意ください。
  • ゆうき
  • 2006/08/08 3:05 PM
回答ありがとうございます。
この件に関して税務署に問い合わせしても良いのですが変に解釈を変更されたら困るので、別途FPの方と相談します。

子供には、年間111万円ほど贈与を行い、堂々と生前贈与申告をしようと考えております。

千円程度の贈与税を支払うだけで、税務署から変に疑われる事が無くなるのでしたら、証明書発行の手数料と考えてもお釣りが出るでしょう。
後は、野村か大和が子供名義の口座を作ってくれるかどうかです。
  • SLT
  • 2006/08/08 6:51 PM
私も口座開設してくれるかどうかが気になるので、ぜひ続報お待ちしています。
  • ゆうき
  • 2006/08/08 11:34 PM
初めてゼロクーポン債に投資しようと情報を探しているところ
このブログにたどり着きました。

野村証券から資料を取寄せましたが、アメリカ国債のゼロクーポンだけでも
残存9ヶ月から24年まであり、どのゼロクーポン債に投資するのが良いのか悩んでいます。

50万円の特別控除で途中解約を前提として投資する場合、
ゼロクーポンの償還日や残存期間など気にせず
最も利回りが高いゼロクーポンを購入すれば良いということでしょうか?

それとも選択する目安となる情報や残存期間について
注意が必要なことがあればご教示いただきたく
お願い申し上げます。
  • めんこ
  • 2006/08/11 4:57 PM
めんこさん

まずは、債券投資の基本、ステップ4をご参照ください。
http://fund.jugem.jp/?eid=26

先日、利上げ停止もされ、米ドルの利回りは高くなってはいますが、資源高によるインフレ懸念もぬぐえていないので、長短の割合は非常に難しいタイミングであることは確かです。
  • ゆうき
  • 2006/08/11 6:52 PM
ゆうき氏

ご返信有難うございました。

「利上げ局面が終盤になると国債利回りはピークを付け、
 その後は低下する傾向があります。」

という日経の記事を読み、さぁ国債と思い立ちましたが、
読み返すと次に

「利上げ効果でインフレ圧力が後退したのが背景です。」

とありました。
原油や非鉄金属などの資源高がどうなるのか注視しながら
投資時期を分けてゼロクーポンを購入します。
  • めんこ
  • 2006/08/12 7:36 AM
はじめまして、いつも勉強になっております。
海外債券についていろいろ見ていたらこのページに来ました。
勧められた本は今注文中です。
質問ですが、どういう理屈で
償還価格÷(償還価格−現在価格)×控除上限額
となるのでしょうか?

というのも60のものを125買って、100まで持てば、125×100/60=208となり差益は83となる気がするのですが、計算はもっと複雑なんでしょうか?
教えていただけると幸いです。
よろしくお願いします。
  • よね
  • 2008/02/25 12:36 AM
大変失礼しました。計算式が間違っていましたので、修正しました。ご指摘ありがとうございます。
  • ゆうき
  • 2008/02/25 9:16 PM
> 一方外国籍のゼロクーポン債は、償還時の売却益に対して雑所得(所得が2000万円以下の人は20万円までの雑所得は控除される)がかかる。

これは申告不要制度のことを言っていると思うのですが、条件と用語が明らかに違います。

「所得が2000万円以下」ではなく、「給与所得と退職所得の合計が2000万円以下」です。
この書き方だと2000万円以下の事業所得者であっても制度の対象になってしまいます(もちろん対象ではありません)。
省略するにしてもせめて「サラリーマンで給与が2000万円以下」とするべきでしょう。

また、「20万円までの雑所得が控除される」はよく目にしますが明らかな間違いです。控除ではありません。あくまで確定申告が不要である金額が20万円以下の所得というだけです。

医療費控除や住宅ローン控除の初年度申請などで確定申告が必要な人は、確定申告をするなら原則この20万円以下のものも申告しなければなりません。
仮に20万円あったとして申告すると、控除なら税金は取られませんが、控除ではありませんので差し引く経費がなければ20万円が総合累進課税されます。

蛇足ですが、控除は確定申告をすることが条件になっているものもあります(医療費控除など)ので、20万円控除されるとしても申告しないでいいわけではありません。

条件が詳細である旨の注意書きが書かれていましたが、この違いはさすがに違いすぎますのでご指摘しておきます。

申告不要制度について(国税庁)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1900.htm
  • しゅう
  • 2009/10/03 5:02 AM
ご指摘ありがとうございます。おっしゃるポイントは理解していましたが、何分昔の記事で、正確な理解をしていない段階で書いた記事でした。
  • ゆうき
  • 2009/10/03 11:41 PM
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