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国家破綻・財政破綻のレベルと対策の有効性〜通貨消滅・無政府状態の対策は困難

国家破綻・財政破綻は様々なタイプがあるが、その状態や対策はきちんと整理されていない気がする。そこで、国家破綻・財政破綻のレベルと破綻対策の有効性について整理してみた。
まず、これまでの国家破綻・財政破綻のレベルをおおまかに5段階に分けてみた。

  • レベル1:通貨価値の毀損(引き出し制限や預金カットはなし)
  • レベル2:流動性制限(ギリシャアルゼンチンで生じた預金引き出し規制や海外送金規制など)
  • レベル3:預金カット・資産課税(キプロスで行われた預金カットや戦後直後に日本で行われた新円切り替えなど)
  • レベル4:通貨消滅状態(ジンバブエカンボジアで生じた通貨消滅)
  • レベル5:無政府状態(ソマリアや大地震後のハイチなど、政府が機能しておらず暴力が蔓延している状態。いわゆるヒャッハー状態)

破綻対策の有効性については、レベル1の状態であれば、国内債券アセットクラスの価値は低下するが、株式や外貨建て資産であれば対処可能だ。

レベル2から3においては、株式や外貨建て資産であれば対処できる可能性は高いが、課税方法によっては影響を受ける可能性がある。

レベル4から5の状態で資産を保全するためには、海外に逃避するか、自給自足状態になって隠れるか、暴力集団の中でのし上がるという選択肢になるだろう。

一般的な個人投資家としては、レベル3までだったらある程度の対策は可能だが、それ以上の対策は難しい気がする。

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・ムサコ会に初参加〜経済破綻で生き残るためにプレッパーから学べること

コメント
>レベル1:インフレによる通貨価値の下落(引き出し制限や預金カットはなし)

仮に円安に基づく(コスト・プッシュ)インフレを「レベル0(ゼロ)」だとし、このまま円安が漸進すれば、輸入物価が高騰しますから、インフレが加速しますね。

そして、レベル1のインフレに基づく円安は、円を実質的に減価しないので、輸出を増加させません。

現状はレベル0ですが、輸出総数が著しく増えず、Jカーブ効果がないことが実証されたので、実態はレベル1に足の親指の先が触れた程度でしょうか。
  • キセン
  • 2015/07/27 2:36 AM
今回のレベル設定は出口で分けており、入口を明確に定義したわけではないです。
  • ゆうき
  • 2015/07/27 8:09 AM
ご返信有難うございます。

早速ですが、「出口」とは破綻対策という意味でしょうか?

ゆうきさんのお考えの、国家破綻・財政破綻のレベルの「入口」や「出口」などの概念とはいかなるものなのか、もしよろしければご教授願いたく存じます。


社会通念上、「出口」を想定もしくは設定したということであればそれに対応した「入口」がありますし、そもそも「入口」がなければ「出口」もないと思いますので(無節操でアドホックな「入口」に基づいて言動したその挙句に、「出口」が見えなくなるという事態もあるとは思いますが・・・。)。
  • キセン
  • 2015/07/27 12:31 PM
例えば、レベル1は財政破綻状態(政府が債務返済を行えない状況)になったものの、流動性制限(レベル2)や預金カット(レベル3)は行われず、インフレと歳出カットと増税で乗り切れたという状況です。

出口という表現はあまり適切ではなかったかもしれませんが、各レベルは財政破綻後の帰結を表しており、どこからどこまでがレベル1といった定義はしていないという意味です。
  • ゆうき
  • 2015/07/27 3:44 PM
なるほど。

財政破綻状態になるのは、要するに、長期金利が急騰した時点だと思うのですが、その場合、ここにいうインフレとは「財政インフレ」ということになると思います。事実上の財政ファイナンスが強く疑われているということもありますし。

そのようなインフレについては、人為的にアンコトラブルになるというのが多くのエコノミストの見解ですが、そうなると、程度問題はありますが、一気にレベル4を窺う事態になると思います。

そうであれば、我々個人投資家が悠長にレベル1〜4もしくは5などと想定して、破綻対策の有効性を議論すること自体がナンセンスだとも思うのですが、いかがでしょうか?

そして、結局、有効な財政破綻対策としては、相当事前の「キャピタルフライト」しかないということになるとも思うのですが、いかがでしょうか?
  • キセン
  • 2015/07/27 8:00 PM
財政ファイナンスだからレベル4になるという根拠がよくわかりません。戦後直後も財政ファイナンスでしたが、レベル3まででした。私自身は、どういう対処が取られるかは事前には分かりません。
  • ゆうき
  • 2015/07/27 9:54 PM
>財政ファイナンスだからレベル4になるという根拠がよくわかりません。戦後直後も財政ファイナンスでしたが、レベル3まででした。

実態としてもしくは法的にも財政ファイナンスであっても、当局が財政ファイナンスだと認めることはないことは、沿革的に認められるところです。

そてはさておき、戦前、戦中の財政ファイナンスすなわち日銀による国債の直接引き受けに基づいて、戦後において(超)高率のインフレが生じています。

程度問題はありますが、東京卸売物価指数でみると、1935年前後を100ポイントだとすると、1945年頃から35,000ポイントまで高騰しています。ジンバブエほどではありませんが、これは十分講学上ハイパーインフレと称しうる事態です。3年で100%の物価上昇をもってハイパーインフレだといいますから。

財政ファイナンスが原因でハイパーインフレになったのは、市場の裏付けのない貨幣が膨張したからです。

そして、戦後に起こったハイパーインフレに加えて、当局による預金封鎖、デノミ、そして財産税が実施されたのですから、金融、実物を問わず、ほとんどの国民が財産を失うことになったのです。

ですから、戦後に起こったことは、当局による事実上の私有財産の没収だけではなく、超高率のインフレであったわけで、我が国の国民経済は、ゆうきさんの想定するレベル4に達していたのです。ジンバブエの事例は、レベル4の典型ではなく極端なものということでしょう。

翻って、今後ですが、仮に現状の経済政策が事実上の財政ファイナンスであれば、近い将来(確率は低くとも)財政インフレが起こる可能性があります。しかし、私見では戦後のような私有財産の没収までは不可能だと考えていますから、専ら(超)高率のインフレを懸念しています。

そういう意味で、「一気にレベル4を窺う事態になる」と申し上げました。

久々の長文、失礼致しました。
  • キセン
  • 2015/07/28 1:19 AM
なお、ゆうきさんの想定するレベル1の「インフレに基づく通貨価値の下落」と財政インフレとは異なります。財政インフレとは、財政ファイナンスによる通貨膨張に基づくインフレ、だからです。

我が国の戦後におけるインフレとジンバブエにおけるインフレとは、財政ファイナンスによる通貨膨張に基づくインフレという意味で共通します。

したがって、我が国の戦後もジンバブエの事例も、レベル4の事例として挙げてよいのだと考えます。

念のため付言します。
  • キセン
  • 2015/07/28 2:30 AM
レベル4は、人々が自国の通貨を信用しなくなって使わなくなる状態を想定しています。日本の戦後の新円切り替えでは、そのような状態に達しておらず、レベル4と定義するには至っていません。
  • ゆうき
  • 2015/07/28 5:50 AM
>レベル4は、人々が自国の通貨を信用しなくなって使わなくなる状態を想定しています。日本の戦後の新円切り替えでは、そのような状態に達しておらず、レベル4と定義するには至っていません。

なるほど、ゆうきさんの想定は、同じデノミにしても何らかのインフレにしても、沿革的な実証として、日本の場合は自国通貨の信用を完全に毀損していなかった、ジンバブエの場合は完全に毀損したことを重視した。そこで、今後我が国で何らかのインフレが起こったとしても、自国通貨の信用を完全に毀損することは一切ないと想定した、ということでしょう。だから、レベル1を設定してみた。

厳密には、ここに何らかのインフレとは財政インフレであって、自国通貨の信用毀損で発生します。これ自体過激なインフレ課税ですからレベルで評価するようなお話ではないとは思うのですが・・・。

要するに、ゆうきさんの判断基準は、同じ財政インフレや当局による私有財産没収が、ジンバブエもしくは日本で起こった場合にどの程度のものとなるのかと、結局「国の属性」の違いで程度問題として判断する、ということでしょう。

このようなゆうきさんの想定であれば、今後我が国で財政インフレが惹起したとしても、レベル4以降を想定することは非現実的です。私見では、一連のギリシャを観察しても分かるように、戦後のような当局による大胆な事実上の財産没収(デノミ、財産税など)もない蓋然性が高いでしょう。

いずれにしても、今後起こる可能性のある我が国の財政破綻は、破綻経路が財政ファイナンスに基づくので、程度問題はありますが高率のインフレを惹起することになるでしょう。しかし、その「後」に対応してもナンセンスであって、我が国はいずれ財政破綻するのだと予想するものは、積極的に相当事前にキャピタルフライトするなり著しく価値毀損しそうにないと予見する不動産を購入しておくなりすることで対応策とするより他ないでしょう。

そして、沿革的にみても、財政インフレは、一気に非線形的に高率に惹起しますので、かなり相当前の事前に対応することが肝要だと思います。
  • キセン
  • 2015/07/28 1:42 PM
だいぶ誤解されているようです。

今回のカテゴリ分類は、投資家から見て財政破綻後にどのような制約がかかるかという観点から分けたものであって、ご指摘のような破綻原因や財政状況から分類したものではありません。

また、どのシナリオがどの程度の確率で発生するかという分析は行っておりません。
  • ゆうき
  • 2015/07/28 2:44 PM
>だいぶ誤解されている・・・

誤解というよりも、ゆうきさんのフェーズを確認した感じです。

その結果ですが、我が国の場合、財政破綻に至る過程は、財政ファイナンスによるアンコトラブルな「財政インフレ」を経験せざるをえないだろうというのが多くのエコノミストの見解です。

ところが、ゆうきさんの分類したところのレベル1は、「インフレによる通貨価値の下落」すなわちコストプッシュインフレに基づく円安程度を想定していて、「財政インフレ」を想定していない。ゆうきさんの想定する程度のインフレを破綻状態にカテゴライズするには無理があるでしょう。そもそも因果関係が逆です。

つまり、財政破綻におけるインフレとは、当局によるアンコトラブルな「財政インフレ」なのであって、こうなるとそれ自体で過激なインフレ課税で、いわゆる安全資産と呼ばれるものの価値毀損は著しいわけです。それは、ゆうきさんがレベル2にカテゴライズしたギリシャにおける流動性制約措置よりも国民生活にはずっと過酷なはずです。

識者によっては、ギリシャ程度を財政破綻とは言わないというものもいますね。IMFなどはデフォルト宣言すらしていない。

そういう意味で、レベル1として財政インフレを想定するのであれば、「破綻対策の有効性については、レベル1の状態であれば、国内債券アセットクラスの価値は低下するが、株式や外貨建て資産であれば対処可能だ。」などと悠長なお話で済むはずはないですよ、いくら賢明な個人投資家であっても。

したがって、「今回のカテゴリ分類は、投資家から見て財政破綻後にどのような制約がかかるかという観点から分けたもの」ということは理解していましたが、あまりに形式的に過ぎるのではないでしょうか、と申し上げたかったわけです。

なお、財政インフレの場合、ジンバブエのように自国通貨が「消滅」する事態よりも、むしろ自国通貨の融通が少しでも残って円で国民生活するほうが過酷になる可能性があるでしょう。その過酷さは戦後を経験した生き証人に確認すればご理解いただけるかと存じます。あとは、想像力でしょう。
  • キセン
  • 2015/07/28 10:11 PM
ついでに、整理して明確に申し上げておきます。

ゆうきさんは、財政破綻状態としてレベル1を「インフレによる通貨価値の下落」とされています。その意味は、「人々が自国の通貨をまだ信用していて使っている状態」だということのようです。

レベル4の「通貨消滅状態」を「人々が自国の通貨を信用しなくなって使わなくなる状態」という意味だとし、日本の戦後につき、「(日本の戦後の)新円切り替えでは、そのような状態に達しておらず、レベル4と定義するには至っていません。」と評価されていますから。

そうであれば、ゆうきさんが想定されたレベル1も4も「財政インフレ」だということになります。

財政インフレは、財政ファイナンスによる自国通貨の価値毀損に基づくインフレです。ここに価値毀損の程度問題として、ゆうきさんの想定したレベル1では、まだ国内での自国通貨の通用性を失っていない状態で、レベル4では、その通用性が失われた状態ということになります。

だから、ゆうきさんが失念なさっているのかもしれませんが、レベル1については、「インフレによる通貨価値の下落」とインフレの表記は使用せずに、単に「通貨価値毀損状態」とでもすればよかったのかもしれません。そうすれば、レベル4との整合性が図りうるからです。

当方が今回本エントリーを拝読して当初覚えた違和感は、以上で解消しましたが、繰り返しますが、いざ「財政インフレ」が惹起したならば、それが通貨価値「毀損」程度だろうが「喪失」だろうが、いくら賢明な投資家であっても、破綻後の対抗策は万全だなどと悠長に構えていられるような事態ではないと思います。
  • キセン
  • 2015/07/29 12:03 PM
ご指摘ありがとうございます。レベル1の表現を修正させて頂きました。
  • ゆうき
  • 2015/07/29 9:05 PM
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