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野党が批判すべきGPIF運用の批判点〜ポートフォリオ変更時の意思決定プロセス

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用評価損が5兆円超になるとの見込みから、年金運用のあり方が参院選の争点のひとつになっている。

ただ、短期的な評価損を批判するのは的外れだ。一方でGPIFのポートフォリオ変更の意思決定プロセスには問題が多い。野党はこの意思決定プロセスの問題にこそ焦点を当てるべきだろう。

今回の問題は、GPIFが2014年10月に基本ポートフォリオを変更したことから始まっている。国内債券を60%から35%へ、国内株式を12%から25%へ、外国債券を11%から15%へ、外国株式を12%から25%へ、それぞれ変更された。

なぜポートフォリオ変更を行ったのか。GPIFのウェブサイトにある「基本ポートフォリオ策定の経緯」を読むと、2014年10月の第2期中期目標の変更において、実質運用利回りを1.1%(名目は3.2%)から1.7%に引き上げたからと説明されている。

資産運用の世界では、アセットアロケーションの決定においてリスク許容度に基づいてリスクを決定してから期待リターンを決めることが基本とされている。しかし、驚くべきことにGPIFでは最初に期待リターンを決めてから、リスクの決定は二の次とされている。

では、GPIFはリスクをどのように説明しているのか。中期計画には基本ポートフォリオは示されているものの、リスク(標準偏差)は示されていない。意思決定においてリスク(標準偏差)をどのように判断したのかが不明だ。

ちなみに2016年5月30日の運用委員会で配布された「基本ポートフォリオの定期検証について」によると、基本ポートフォリオを決定した時点の標準偏差は12.8%であったことが示されている。2014年10月の運用委員会資料にはリスクに関する資料が存在しない(追記:厚生労働省の2014年11月4日の社会保障審議会年金部会でGPIFの10月31日付プレスリリースが配布されており、標準偏差のデータは公開されているが、プレスリリースはGPIFのサイトでは公開されていない)。

GPIFの運用リスクについて最も分かりやすい説明は、2014年12月24日に長妻昭衆議院議員から出された質問主意書に対する2015年1月9日の政府答弁書だ。答弁書では「信頼区間95パーセントで予想される最大損失額は、同年9月末の積立金残高及び経済中位ケースを想定すると約21.5兆円である」と回答している。このような説明は、GPIFウェブサイトの分かりやすい箇所に掲示されるべきだろう。

このようにGPIFのポートフォリオ変更にあたって、リスクが適切に検討されていないし、リスクに関する情報公開も不十分であることが分かる。年金運用についてメディアや議員に誤解が多いのも、こうした検討の不備や説明不足が起因しているだろう。

関連記事:
・政府がGPIF新ポートフォリオの信頼区間95%(2標準偏差)の最大損失額を21.5兆円と答弁


コメント
僕自身もこの件については大いに反省しています。
情報がさくそうしていて、真実が見えてきませんでした。
他のブロガーから色々教えてもらった為、やっと真実が見えてきました。
  • タカちゃん
  • 2016/07/06 7:01 PM
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